雪のサンクトペテルブルク    奥村 知世

 「靴が買える場所に連れて行ってくれない?」

モスクワへ飛び、夜行列車を経由してサンクトペテルブルクにつき、その日のデイホストに会ったとき、まず私はそう言いました。

 3月、日本ではもう春。ヒートテックにダウンジャケットにと、十分ロシアの寒さ対策をしたつもりでしたが、足元がスニーカーでは雪の降りつもるサンクトペテルブルクの街を、歩くことはできませんでした。

 

 ペテルブルクのホストの家には同世代の女の子がいて、彼女と彼女の友達は大の日本アニメファン。家ではロシア語字幕のついた日本アニメを一緒に見て、「これはどういう意味?」という質問に答え、楽しく過ごしました。翌日、連れて行ってくれた街の片隅には、なんと日本の秋葉原にあるようなアニメショップも!

 エヴァンゲリオンのフィギュアと、ジャニーズのピンバッジが一緒に並んでいて、ユーラシア大陸を渡るうちに変遷した日本の文化に妙な感動を覚えました。

 

 続いて、モスクワに戻り、イタリア語通訳をしているというワーキングウーマンの家にホストをしてもらいました。運の悪いことにたまたま初日は仕事が入ってしまったらしく、その日は彼女の友達に町を案内してもらいました。

 「モスクワメトロ愛好会会長」という肩書を持つ、スキンヘッドの強面の男性が、メトロの駅を隅々まで案内してくれました。東京のメトロにも劣らない多くの路線。そして、東京とは比べものにならない豪華な装飾。「社会主義だったころ、私たちに宮殿はなかった。だから、庶民の宮殿として駅を豪華につくったんだよ」と、彼は解説してくれました。

 清潔さ、快適さでは東京メトロの方が勝っています。しかし、モスクワメトロの情緒は、忘れられないものになりそうです。

 

 都心でメトロ愛好会会長と別れ、郊外のホスト宅まで向かったのですが、指定された駅で降りても、教えてもらった大型乗り合いタクシーのマーチェリンカが見当たりません。駅員や周囲の人に聞こうとしても英語が伝わらず、また持ってきたロシア語の本も役には立ちません。そんな時に限り、ケータイ電話の充電も切れてしまいました。もう夜の9時を回っており、あたりは暗く、寒く、心細く、「モスクワでは夜はそこまで治安は良くない。野犬にかみ殺されて死ぬ人もいる」という言葉が頭をよぎりました。

 

 「万事休す」と困ってしまいましたが、まずはそばにあったモスクワ大学近くの駅に移動しました。そこならば英語が話せる学生もいるだろう、と思ったのです。

そして、まさにそこで親切な女学生と出会い、ケータイを貸してもらってホストに電話をし、家までの行き方を確認してもらいました。彼女は「これからまた迷ったら本当に夜になって危険だから」と、わざわざ家まで私について来てくれました。

 

 冒険談をつくるために来たわけではなく、もしかしたらいろいろな人に迷惑をかける結果になったかもしれないと思うと、自分の油断に反省しきりです。今回の反省を生かし、日本で困っている方がいれば手助けしなければ、と思いました。

 

 トラブルを除けば、美しいロシアを堪能し、ロシアの生活を垣間見ることができた今回の旅は、これまでのホテルなどに滞在していた旅とは全く異なるすばらしいものでした。今後ともぜひ、サーバスの一員として、交流をしていきたい、と思っております。

コメントをお書きください

コメント: 1
  • #1

    Linda Wollman (金曜日, 03 2月 2017 13:09)


    Everything posted was very reasonable. However, what about this? what if you wrote a catchier post title? I am not saying your information is not solid., but suppose you added a post title that grabbed a person's attention? I mean %BLOG_TITLE% is kinda plain. You should look at Yahoo's front page and watch how they create news headlines to grab people interested. You might add a video or a picture or two to grab readers interested about everything've written. Just my opinion, it could bring your website a little bit more interesting.